この箱入り娘!と、琴がぽかっと軽く頭を小突いてきて、そのままずんずん怒った様子で先に進んで行ってしまった。
その姿を追いながら、小突かれたところをさすっていたら、いつのまにか隣に若サマが並んでいて。
「……える」
「あ、はい。どうかしましたか、若サマ」
「……先日、おれが体調を崩していた際、ドアに飲料が入った袋をかけたのはお前か?」
「え?そう、ですけど……、あの、琴が忙しそうにしてて、若サマも部屋から出てこないから大丈夫かなと思いまして、えっと、余計なお世話でしたか?」
これは怒られるやつかな?と思いながら、隣を歩く若サマを見上げたら、ふっと視線をそらされた。
「……いや、」
「ならよかったです。……ところで、ひとつ質問があるんですけど、」
「なんだ」
「今更ですが、琴って無免で運転してて大丈夫なんですか?」
今は歩きだから問題ないけど、行きは白い車を運転していた。その姿を見て、ふと思ったのだ。
あれ?そういえば、普通車って免許18歳からだったはずだけど、琴って免許証取得する暇なんてあったのだろうか、と。
「……ああ、そのことなら問題ない。あいつはもう成人済みだ」
「えっ、もう誕生日過ぎましたか?」
「……今年はまだだな」
「…………ん?」
どういうこと?と首を傾げたら、若サマは前を歩く琴を見遣って。
「ああ、言っていなかったか。……琴吹は二学年に在籍をしてはいるが、今年で20歳を迎えるオトナだ」
「………え。えええええええ?!?!」
そんな、衝撃的な言葉を吐いた。



