甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 そう頑張って、バレないようにしていた。

 返事を先延ばしにした所以で、小森さんを怖がらせるような事だけはしたくない。

 視覚化するなんて、もってのほか。

 ……僕なりに自制はしてた、はずだったのに。

「悪いけど、小森さんはこっちだから。」

 僕はその場の勢いで、小森さんの従姉妹を遠ざけた。

 ……今、後悔の念のほうが大きい。

 僕の手の中には、小森さんの華奢な手が握られている。

 弱々しいけど、小森さんの温かさが伝わる手。

「……あの、颯斗先輩。」

 あの場から結構離れた場所で、小森さんは立ち止まった。

 日が傾いていて、辺りがオレンジ色に包まれる。

 やっぱり、怒ってるよね……。

 強引に小森さんの従姉妹から離した。久しぶりって言って、仲睦まじそうにしてたのに。

 従姉妹同士なら、僕がどうこう言える話じゃないのに。

 ……独占欲に支配されて、遮った。

 怒るならもうめいっぱい怒って。そうじゃないと、僕の気が済まない。

 小森さんの様子からして、小森さんは従姉妹のことを凄く大事にしている。