はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



どう考えたっておかしい。


学校一モテるような子が、私なんか相手にするはずがない。


仁乃から聞いた情報だと、来るもの拒まずみたいだし、女の子にも不自由してないはず。


屋上でよく見かける私を暇つぶしにでもからかいたくなっただけだろう。


だとしたら本当に悪趣味だけど。



「あすか先輩」


「・・・なに」


真っ直ぐ前を向いたまま、歩みは止めずに返事をする。


「先輩、ちょっと止まってください」


また右腕をクイッ引かれた。


必然的に足も止まる。