「おは、よう」
たくさんの人の中でチョコをあげたら噂になってしまうから、わざわざ人気のない廊下を選んだのに。
ここにきみがいるのはどうしてなんだ。
「小林にチョコあげたんだ?」
「あ、うん…」
「へえ」
少しの沈黙が、果てしなく長いように感じた。
「なんだよ、付き合ってないって言ってたじゃん」
沈黙を破ったのは小林くんで。
「付き合ってない。……けど、だめ。あげない」
口元はマフラーに埋もれて見えない。目は逸らされて、視線が合わない。
決まり悪そうな顔をしながら、でもはっきりと告げる洸。
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