「イーサンが無礼を働いたようだな。すまなかった」

 はいいいいいいい?

 いまのはいったい何? わたしの幻聴? もしかして、夢をみているの?

 公爵は、軽く頭を下げた。

 し、信じられない。なにかの罠? それとも、新手の嫌がらせ?

「料理長、腹が減った。夜食を頼む。軽いものでいい」
「おお、閣下。やっと食欲が出てきましたか? まあ、今夜もろくに召し上がってくれませんでしたからね。腹も減るでしょう。ササッと作ってお持ちします」

 ハミルトンのふくよかな顔が明るくなった。

 一瞬の沈黙。