料理長のハミルトンは、廊下側の入り口からすごい勢いで走って来た。少年を突き飛ばすと、わたしの前に立つ。

 ハミルトンは、料理人らしく恰幅がいい。すごくいい。ただ恰幅がいいだけではない。筋肉質である。恰幅がいいのは、縦にも横にもいいというわけ。
 彼は、味見とか料理の勉強だと言ってよく食べる。とにかく食べる。だけど、食べ方に気を遣っているので、ムダに太っていない。

 そういうところは、さすが料理人だと感心する。ハミルトンはただの料理人というだけではなく、栄養学観点からも管理が出来、しかもいろんな面で強い。

 スーパー料理人なのである。

 しかもワイルド系の美貌だから、世のレディたちにモテるのではないかしら。

 だって、料理をしてくれる旦那様だなんて、世の中のレディたちにすれば夢のような男性だと思う。

 もちろん、彼は性格もいい。気遣い抜群でやさしくて思いやりがあって面倒見がいい。