耳たぶまで熱い。

「ミユ、すまなかった。大丈夫か?」
「は、は、は、はい。だ、大丈夫です。す、すみません」

 きょ、距離が近すぎる。近すぎるというよりかは、距離がない。

 上半身を無意識の内にのけぞらせていた。

「謝らなくていい。急に立ち止まったおれが悪かった。きみは悪くない」
「すみません」

 謝らなくていいと言われたばかりなのに、動揺しているせいもあってまた謝ってしまった。

 いずれにせよ、謝罪はわたしのアイデンティティみたいなもの。

 だから、謝るなと言われても困ってしまう。