「どういたしましてとは言わないけどね。俺がしたくてやったことだから」
「はいはい。今回も伊月の優しさに甘えさせてもらうことになるね」
数えきれないほど伊月の隠す優しさに助けられてきた。
それは小さいも大きいもない、彼の温かな優しさ。
今回は気づける優しさだったから、その点については感謝だ。
私に対してしてくれた優しさは気づいて、ちゃんと直接お礼を言いたいから。
そんな時に再びチャイムが鳴って、6時間目の授業が始まったことを知らされた。
「....行かないの?」
「今更じゃない?それに、私は体調が悪いから」
伊月が妃沙へ送った理由を伝えると、バツが悪そうに私の目から顔をそらした。
サボりは悪いことだけど、今はこの時間を手放したくないと思ったんだ。
もう力が無くなってしまったかのように動くことができない。



