それから何分その体勢ででいたのか分からない。
「嫌ならふりほどいてくれていいよ。その際は、離れるから」
恋人でもない異性に抱きしめられているのに、ふりほどきたくないと思っている私はおかしいのだろうか....。
確かに伊月の腕の力は決して強くない。
私が嫌だと言ってふりほどこうとしたら、簡単に離れてくれる程度の力。
だって彼は優しいから、決して人の嫌がることはしない。
「.....離れたくないと言ったら?」
自分でもおかしなことを言っていると分かってる。
それでもこの彼の、伊月の腕の中にいることの心地よさを今は感じていたかった。
「じゃあ離れない」
結局、私は彼の腕の中にいることを選択した。
未だに流れている涙はとまらないけれど、彼の腕の中は心地よかった。



