たとえ子どもができないとしても、一生そばにいたいと思える女性だったから。
自衛官として忙しい日々を送っている俺を理解してくれて、いつも笑顔で頑張ってと応援してくれていた。
この人を守るためなら、どんな過酷な訓練だって乗り越えられる気がしたんだ。
でも薫は子どもができることを望んでいて、たとえ自分がどうなってもいいから産みたいと言った。
周囲は反対したけれど、俺は薫の気持ちを尊重したかったから反対はしなかった。
産みたいと言った時の彼女の目は本気だったから。
そして桜咲く春に朱音が元気に生まれてきてくれて、自然と涙が流れてきた。
薫も朱音も無事だったことが何よりも嬉しくて。
あの小さな朱音を抱いた時に、俺はどれほど尊いことなのか瞬間的に理解した。
愛する妻と愛する娘を一生かけて守っていくと。



