-朱音の父side-
現在の時刻深夜1時。
朱音はとっくに寝ていて、リビングは自分以外いないため静まり返っている。
そろそろ寝ないと明日の仕事に差し支えると分かっているのに、目がさえてしまって寝られない。
静かな部屋でお母さんの仏壇の前に座る。
写真にうつっている妻は、あの頃と何も変わらない心からの笑顔で微笑んでいる。
....俺の生涯で愛するたった一人の存在である奈良橋薫。
23歳の時に出会い、26歳の時に結婚した。
そしてその3年後に最愛の娘、朱音が生まれた。
その時の感情を言葉に出せと言われても、具体的に言えないほどに特別な想いだったことは間違いない。
昔から薫は体が弱く、体調を崩してしまうことも多かった。
そのために彼女が出産することは難しいとされていて、子どもができないことも理解したうえで俺は結婚した。



