「お言葉ですが、僕も雨宮も、守られるほど弱くはありませんよ。一緒に戦います」

桜士の言葉に、十も頷き、「一緒に戦います!」と拳を握り締める。それを見てクラウディオが口を開く。

「なら、僕はそこの黒人さんの相手をするよ。ヨハンはそっちの白人さんをお願い」

「了解!」

ヨハンはそう言うと、スキュラを睨み付ける。スキュラは冷たい目で二人を見た後、素早く銃を構える。

「ヨハン先生!!」

桜士はヨハンの手を掴み、自分の方へと引き寄せる。銃弾がヨハンの先ほどいた場所を通り抜けていた。

「クソッ!ここが戦場なら俺も拳銃を持っていたのに……!」

ヨハンが悔しげに言う。スキュラとミノタウロスは銃を何度も容赦なく発砲するため、迂闊に近付くことはできない。クラウディオと十も銃弾を避けるので精一杯のようだ。

「死ね!死ね!」

桜士たちの後ろでは、メドューサがナイフを振り回し、ナタリアはそれを避けながら攻撃の隙を窺っている。ダムの壁に仕掛けられた爆弾は、リティクが工具を使って一つずつ解体中だ。