考え始める十に、桜士は少し呆れながら「シャーロック・ホームズだ」と答える。緑柱石の宝冠という話でホームズが言った台詞である。

「何でホームズなんですかね……。このイラストと何か関係があるのかな?」

「それはわからんが、これがCerberusの幹部を見つけるヒントとなっているのは確かだろう。怪しい人物を探しつつ、この暗号の解読もしなくてはな」

その後、二人は朝食会場にて早めに朝食を済ませ、ホテルの隣にあるスキー場へと向かった。



スキー用のウェアやスキー板を借り、桜士と十はロープウェイに乗り、スキー場の頂上付近へと向かっていく。その中、桜士の隣で十は体を震わせる。

「うわっ、高い……。やっぱり俺には無理ですよ。できません」

「雨宮、見ろ。このスキー場は小学生でも滑ることができるんだ。小学生にできてお前にできないことはないだろ」

昨日、ホテルのロビーで見かけた小学生たちが、コーチらしき人と共にスキーを楽しんでいる。ここは初心者でも気軽に滑ることができるのだ。