ドン引くレベルの新のオーラに、心の底から悪態を吐く。

「だから、何でそれで俺に頼む事になんだよ。俺だって、元宮を狙う一獣なんだからな。」

《……それは嫌と言うほど分かっている。だが、神菜にずっと寮に居ろなんて言えるはずないだろ。神菜の行動を縛りたくないんだよ、俺は。》

「だったら尚更――」

《神菜が、お前と一回話してみたいって言ってたしな。》

　元宮が……？　俺と……？

「よせ新。そんな言葉に俺はつられないからな。」

　どうせ護衛する気になるように、そう言ってるんだろ。俺はそんな事じゃ騙されない。

　けど新も引かない様子らしく、電話越しに大きなため息を吐き出した。

《本当に頼む。俺は翔葉なら信用しているし、神菜だって翔葉を信頼している。》

「……なら、明日だけは元宮を俺にくれるって解釈で良いのか？」

《戯言を言うな。なわけないだろ、一時的に神菜を護衛してもらうだけだ。》

「へいへい。護衛は分かったから、とりあえず今日は寝させろ。くそ眠い。」

　これ以上何を言っても新は引きそうにないし、今回だけは折れてやるか。