『心配する事なんて何もないよ~。かんちゃんはそのまんまで良いんだから~。』

『そーだよっ、和向の言う通りっ! でも、新さんの実家に行くって、泊りがけってのはちょっとムカつく!』

 疾風君も和向君も励ましてくれたし、明李君も……ちょっとだけ理解できなかったところもあったけど、元気づけてくれた。

 友達って偉大だ……と思わずにはいられない。

 胸元の小さい水色のネクタイを結び直し、はーっと息を吐く。

 大丈夫だ、いつも通りにすればいい。新さんが褒めてくれる、好きでいてくれるありのままの私で。

 新さんのご両親にもし会ったら、まずは挨拶して名前を言って手土産を渡して……。

 うん、シミュレーションは完璧。

 後は私の、心の落ち着き具合だ。

 ――ピンポーン

 あっ、新さんかなっ?

 そのタイミングでインターホンが鳴り、ちょっぴり急いで玄関先へ。

 扉を開けると立っていたのはやっぱり新さんで、いつもの優しい笑みで私を見つめてくれる。

「準備はできたか? まぁ、まだ時間には余裕があるが……」