最強さんは魔術少女を溺愛したい。【Extra】 ~魔術少女は溺れるほどに甘く愛される~

『かんなも、かわいいよ。なまえも、ぜんぶ。』

『えへへ、ありがとうっ。』

 もう10年前以上だと思う。

 まだ魔力が目覚めていなかった頃、私の町に風羽さんが来ていた事があった。

 だけど親御さんとはぐれてしまったらしくて、しばらく一緒に居たんだ。

 その時の記憶が鮮明に思い出されて、どうしようもなく懐かしい気持ちに苛まれる。

 風羽さんとはこの学園で初めて会ったと思っていたけど、違っていたんだ。

 ……会っていたんだ。

「風羽さんは、覚えていたんですか……?」

 尋ねてくるって事は、そういう事だ。

 でも風羽さんはあっさりと首を横に振って否定した。

「ううん、僕もこのしおりを見てようやくね。これ、神菜がくれたものだったから思い出せたんだ。」

「そ、うでしたね。」

 記念だって言って、あげたものだ。

 なんだか申し訳ない。忘れてしまっていただなんて。

「……神菜はもしかして、僕と初めて会ったのは月魔城でって思ってる?」

「思って、ます。」

 罪悪感を抱いていたら、不意に聞かれたその言葉。