神菜自身はその事に、全く気付いていないようだけど。

「……ありがとね、神菜。おかげで目が覚めたよ。ほんと、神菜には敵わないや。」

「ふぇ? 私のほうが天さんに敵いませんよ……?」

「ふはっ、鈍感は健在だね。そういうところが好きだなって思うよ。」

「す、好き……?」

「うん、好き。」

 もう、馬鹿になりそうなほど大好き。

 このまま腕を引いて抱きしめて、離したくない。

 けどそこまですれば神菜も嫌がるだろうし、神々に怒りの鉄槌を下されそうだからやめとく。

 まぁ、最終的に僕のものになってくれればいいし。

「そろそろ会場戻らなきゃね。神菜、行こう?」

「は、はい。」

 未だ怪訝な表情を浮かべながらも、僕についてくる神菜。

 その仕草さえも本当に可愛くて愛しくて、誤魔化す為に咳払いした。

 いつもの神菜もとびきり可愛い、けど。

 ……今日の神菜は、いつもよりも輝いて太陽のように眩しく見えた。