「神菜も分かってるよね? 俺は目的の為なら手段を選ばない。どんな卑怯な事だってやってみせる。こんな奴だよ?」

 幻滅した?と付け加えようと、自傷的な笑みを洩らす。

 ……神菜はそれを、汲み取ってはくれない。

「私、は……天さんが何と思っていても、絶対にそんな事思いません! 私の目には、天さんが努力家でいつも手を抜かずに仕事をきっちりしていて、誰からも好かれるカリスマの持ち主だって映ってますからっ……!」

「…………あはは、そっか。」

 どうやら、神菜に僕の気持ちは通じないらしい。

 それどころか跳ね返してきて、自分の意見を押し通そうとしてくる。

 普段ならその行為、うざったいとしか思わなかったけど……――今だけは、救われる気持ちだった。

 僕はあくどい事を考えるのが得意で、コネを使って自分の思い通りに進めたがる厄介な天使族。

 天使だなんて見合わない、言うなれば“堕天使”。

 堕天使にそう救われる言葉を投げかけようものなら、自分から罠に引っかかっているようなものだ。