いきなり目の前が、霧のような煙ような何かに包まれた。

 一拍ほど置いて、はっと我に返る。

 ……な、何この煙っ……!?

「神菜!?」

「先輩っ、大丈夫ですかっ!?」

 焦っているみんなの声が聞こえてくる時には、少しずつ煙が晴れてきていた。

 よ、良かった、晴れてっ……。

 いきなりの煙に驚いていたから、私の体は硬直したまま。

 でも煙が何とか収まったようで、ほっと安堵の息を吐く。

 ……けれどその次の瞬間、自分の体の変化に気付いた。

「にゃ……にゃに、これ……?」

 体の安全を確認しようと頭に手を伸ばすと……私にはあるはずもない、何かがあった。

 ふわふわとしていて、まるで猫の耳のような……。

「「「は、はぁぁぁぁぁ!?!?」」」

 その場にいたみんなの声が、見事に綺麗に重なる。

 思わずビクッと体を震わせ、身を縮こまらせる。

 い、いつもよりびっくりしちゃうっ……!

 だけどそのみんなの叫びで、やっと自分の状態を確認する事ができた。

「か、神菜が猫になっちゃったっ……!?」