【side創】

 僕、草薙創は地獄のような日々を送っていた。

 夏休みと言えど、その地獄は変わらない。

「……流石に疲れるな。」

「創様、まだお仕事が残っているでしょう? もう少し頑張ってください。」

「束の間の休息くらい、取らせてくれても良いんじゃないですか?」

「いいえ、旦那様から『決して甘やかすな。』と仰せつかっております。ので、早くやってしまってください。」

 僕の隣には厳しい瞳を向け、はっきりとそう言う使用人が。

 そりゃ、僕だって分かってはいるけれど……意外と疲れるから、そう呟くだけでも許してほしい。

 今やっているのは、父さんの仕事。

 書類確認やサイン、多方面への連絡。これらを全てしている。

 どうして僕が父さんの仕事をやっているかというのは、殺戮魔術の一件からと言ったら分かるだろう。

 あの後、僕は危うく勘当されかけた。

 いや、僕としては勘当なんて当たり前だと思っていたし、今勘当されていない事に驚いている。

 父さん曰く、僕は草薙の一人息子だから勘当するわけにはいかないんだそう。