「二人とも、何で戻ってこないんだよ……っ!」

「心配したんだよ~っ!」

「み、みんなごめんなさいっ……! あの、実はずっと迷っちゃってて……。」

 心配してきてくれたらしいAnarchyのみんなと合流し、神菜は嘘の事を伝えて謝っている。

 そして、新さんが不安で仕方ないという表情をしながら神菜の傍に行く。

「何かあったのか? 連絡は入っていたが、心配したんだぞ……っ。」

「う、ごめんなさい……。次からは気を付けますっ!」

「次なんてなくていい。今日はもう俺の隣から離れるな。」

「は、はい!」

 ……やっぱり、無理かなぁ。

 新さんと話している時の神菜、すっごく嬉しそう。

 僕と話す時の何倍も嬉しそうで、楽しそうで、現実を突きつけられた。

 僕には入れる隙なんて、存在していないんだなって。

「明李、流石に三十分も帰ってこなかったって事は何かあったのかよ。」

「……んーん、ないよ。僕が方向音痴で、神菜困らせちゃっただけだから。」

 疾風からの質問に笑いながら答え、ふいっと視線を逸らす。

 少しの間だけでも、神菜を独占できて良かったなぁ……なんて、静かに思った。