それと同時に神々が苛立ったように、スマホを手に取り立ち上がった。

「悪い、少し電話してくる。……翔葉、お前もだ。」

「ちっ……。」

 小鳥遊はどす黒さを隠すつもりはないのだろう、盛大に舌打ちをして部屋を出て行った。

 あの様子からして……神々にとっても小鳥遊にとっても面倒事だった事に違いない。

 ……でもこれは、好機なんじゃ?

 瞬時にそう考えつくも、ここには同じ考えの輩しかいないわけで。

「神菜っ、このお菓子食べてみて!」

「先輩、そっちよりもこっちのほうが良いですよ!」

「あっ、えっと……。」

 あわあわと慌ててしまっている神菜が可愛くて、くすっと笑みが溢れる。

 あぁもう……神菜はどれだけ可愛いんだろう。どれだけ虜にすれば、気が済むんだろう。

 ふと、そう考える。

 神菜が笑ってくれたら嬉しいし、幸せになれる。

 ……とりあえず、僕も負けないようにしないと。

 他の輩に負けるつもりなんて微塵もないから、改めて意気込む。

 ――神菜、僕を見て。

 叶わないであろう祈りを、小さく持ちながら。