【side神菜】

 夏休みには、出校日というものがある。

 月魔城学園は出校日が二日あり、今日はその日だった。

 新さんと一緒に登校し、教室まで行く。

「また迎えに来る。頑張ってな、神菜。」

「新さんも頑張ってくださいっ! ちゃんと待ってますので!」

「あぁ。」

 さっと一回頭を撫で頬を緩ませた新さんは、返事をすると背中を向けて行ってしまう。

 夏休みは常に一緒に居るから、少しだけ寂しいな……と思っちゃう。

「か、ん、なー!」

「あっ、明李君っ! 久しぶりだねっ。」

「ほんとだよー! 夏休みは神菜に会えないし、ずっと寂しかったんだからね! もう今日はずっと神菜の隣にいるもん!」

「ふふっ、私も寂しかったよ。元気そうで良かったよっ!」

 今にも泣きそうな明李君とそんな会話をしながら、自分の席に着く。

 荷物を机の上に置いたところで、疾風君と和向君に声をかけられた。

「よっ、久しぶりだな。」

「かっちゃんおはよ~。今日も暑いね~。」

「二人ともおはよう! 二人も元気そうで安心したっ。」