慌てて下唇を噛み、何とか抑える。

 こんなところでボロ出して神菜にもっと警戒されたら、元も子もないし……。

 そう思いながら僕も、神菜に誕生日プレゼントを渡す。

「神菜、誕生日おめでとう。これ、僕からのプレゼントだよ。受け取って?」

「風羽さんまで……本当にありがとうございますっ。プレゼント貰えるの、もう何年ぶりだろう……。」

 ほんの一瞬だけ、悲しそうな笑みを浮かべた神菜。

 ……っ。

 その表情に、僕の心臓は締め付けられる。

 鎖で縛られたように苦しくなる心臓に、神菜の辛さが透けて見えるようだった。

 神菜は、一体どんな生活を送ってたんだろうか……。

 有名で優秀な神菜だから、気になってしまう。僕たちが見えないところで、どんな辛さを味わっていたのかが。

 ……だけど僕は、触れちゃいけない。

 手を伸ばそうと思えば、伸ばせれるのに。

 伸ばせれないのが……鬱陶しい。

 ねぇ、やっぱり僕じゃ……ダメなのかな。

 ――プルルルッ

 何とかして神菜に声をかけようと、口を開きかける。