まぁでもきっと、僕がゆとりちゃんの立場だったら同じになるだろうし。人のことは言えない。

「あー、でも和向っちもよくやるよね~。元宮様、恋人居るのにさ。」

「あれは友達同士でもするでしょ~?」

「けど元宮様、和向っちの声で驚いてたじゃん。わたしも久々に聞いたから、ちょっと驚いたけど。」

「それはついつい出ちゃったもん、仕方ないって~。」

「ふーん、ついついねぇ……。」

 ゆとりちゃんは、何か言いたげな視線を僕に向けている。

 その瞬間、ピンポーンとベルが鳴らされた。

「わたし、行ってくるね。和向っちは準備とかしといてね~。」

「は~い。」

 メモ用紙をポケットに突っ込んだゆとりちゃんは、いそいそと厨房を出ていく。

 でもそんな時、一瞬振り返ったかと思うと。

「あんな男っぽい低い声で、あっまい視線で、頭撫でるのは良くないと思うけどなぁ~わたしは。そんな事するんだったら、堂々とアピールすればいいのに。」

 なーんて言い残してから、「はーい!」と返事をして行ってしまった。