【side神菜】

「新さん……あの、暑くないんですか?」

「大丈夫だ。神菜のほうこそ、大丈夫か?」

「わ、私は大丈夫です……けど。」

「ならもう少しだけ、な。」

 うぅっ、新さんって甘え上手かもしれないっ……。

 夏休みも中盤に差し掛かり、宿題が粗方終わったある日の事。

 今日も今日とて私は新さんのお部屋にお邪魔していて、新さんと過ごす。

 でも後ろから、優しくふんわり抱きしめられているせいでドキドキが止まらない。

 新さんは抱きしめる事が好きらしく、二人でいるといつも抱きしめてくる。

 私も嬉しいから拒否はしないけど……は、恥ずかしい。

 新さんに抱きしめられるのなんて、何回もされているのに一向に慣れない。

 ううん、新さんにされる事全てに慣れていない。

 頭を撫でられる事も、こうやって抱きしめられる事も、キスをされるのも……新さんだから、慣れない。

 もちろん新さん以外にそういう事はしないし、新さんを悲しませたくないから線引きはしているけど。

 ……やっぱり、意識している人にされたらドキドキが収まらないっ。