この無邪気な笑顔の裏には、そんな気持ちが隠れているだなんて。

 ……そんなの、もったいないよ。

「ないなら、これからゆっくり見つけていけばいいですよ。焦っちゃ、ダメです。」

「……それがもし、見つけられなかったら?」

「私もお手伝いします。」

 あんまり無責任な事は言えないし、できる事だって限られてくる。

 だけどそんな中でも、夕弥さんが自分の思い描く自分になれる道があるのならば。

「夕弥さんのその気持ちは、諦めるにはもったいないです。」

 ……見つけて、その道を進んでいってほしい。

 はっきりと言って、ちゃんと伝わるように夕弥さんを見つめる。

「……そっ、か。やっぱり良い子だよ、神菜は。」

 小さく零された言葉は、夕弥さんの表情と一緒で震えていて。

 今にも、泣いてしまいそう。

「神菜、そろそろ帰ったほうが良いよ。ごめんね、俺のわがままに付き合ってもらっちゃって。」

「わがままなんて……それに、この状態の夕弥さんをほっとけないですっ。」

「良いよ、ほっておいてくれて。見せたくないからさ、好きな子には。」