【side神菜】

「目当ての本は合ったのか?」

「はいっ。ついついたくさん買ってしまいましたっ。」

「……そんなに好きなのか。言ってくれたら、本の十冊や二十冊買ってやったのに。」

「そ、それは申し訳なさすぎますっ。自分のものはできるだけ、自分で買いたいですし……。」

「ふっ、流石神菜だな。」

 今日は久しぶりに、新さんとお出かけ。

 ……って言っても、学園の敷地内だけだけど。

 それでも最近はずっと新さんがお仕事ばかりだったから、嬉しい事この上ない。

 えへへっ、やっぱり新さんと居られる時間大好きだなぁ……。

 本当はずっと一緒に居たいけど……なんて、わがままは言えない。

 だから、めいっぱい一緒に居られる時間を大切にしよう。

 そう思いながら、さっきたくさん購入した書籍を袋の上から撫でる。

 このほとんどが恋愛小説で、どれも私の好きな作家さんのものばかり。

 ドキドキしてキュンキュンして……そういった小説が昔から好きなんだ。

「神菜、恋愛小説好きなのか。」

「はいっ。ドキドキするものが好きで……幼い頃からの趣味なんです!」