そう言ってエドは、魔力を測る魔術道具を出した。昔もこれで判定したんだっけ。懐かしいな。私がそこに1滴血を垂らすと、針が勢いよく数値の限界まで振り切った。


「判定不能なほど、魔力量が多いとは……」


 エドは眉間にしわを寄せ、私達家族は顔を見合わせる。両親は不安になったのだろう。母は私の手をぎゅっと握りしめ、父は私の肩を抱き寄せた。


「特別に話して良いと陛下から言われていますが、他言無用でお願いします」


 キース王国の王子との縁談に関してだから、もちろん誰にも話すわけはない。だけど陛下の名前まで出ると、大事になっていることを実感して怖くなってくる。私達親子は、こくりと頷いた。


「実はキース王国では最近、魔力を使った兵器を作っているという情報があります」
「へ、兵器ですと!?」
「伯爵は国境付近の山で、金が採掘され始めているのはご存知ですよね?」
「ええ、東のマリス王国との国境付近で、ここ最近採れるようになったとか」



 前世でエドの弟殿下と結婚して、王妃になったソフィア様の出身国だ。マリス王国とはずっと仲が良いんだよね。たしかエドの兄にあたる第2王子が、マリス王国に婿入りしたはず。