「もう! いったい他になにを買ってきたのよ?」
「ああ、これだよ。明日は苺祭りでたくさんの観光客が来るから」



 そう言って2人が袋から出したのは大量の苺の飾りとタペストリーだ。タペストリーは折りたたまれていたのでどんな柄か見えない。たぶんこれも苺柄なんだろう。



「他の店は外観も苺で飾り付けしていて豪華だったから、うちの店もどうかと思って買ってきたんだ。どう? サラちゃん」



 お店の準備で忙しかった私達は他の店を見ていなかったが、エドのお父さんは買い出しついでに偵察したのだろう。たしかに私達のお店はシンプルだったかも。年々街全体の飾り付けも豪華になっていて、それも観光の目玉のひとつになっていた。



「お義父さんありがとう。たしかにうちの店だけシンプルだと悪目立ちしそうね。あとで飾らなきゃ」
「サラ! 俺はこれを買ってきたぞ」



 そういって私の父さんが出したのはさっきのタペストリーだ。「大人気で何軒も探したよ」と言いながらバサリとタペストリーを3つ広げる。私とエドは広げられたタペストリーのデザインを見て思わず絶句した。