「竜王様にその気がありませんからね……」
「だから、パーティーをしても意味がないというか。でもやらないと年頃の娘をもつ貴族たちがうるさいだろうし……」
二人がそう言い切るところを見ると、竜王様は本当に興味がないんだろうな。板挟みになるシリルさんやリディアさんは大変そうだ。それにしても、あのパーティーはただのお見合いではなく、そんな権力に関する戦いの場でもあったとは……。
はあ、気が重くなる。日本に帰れないなら、ここで生活していかないといけないのに、周囲から憎まれているなんて前途多難だ。私が大きなため息をついていると、リディアさんは安心させるようにニッコリとほほ笑んだ。
「今回のことで地方からいらしたご令嬢方には、お城でお部屋を取りました。すぐにパーティーは開催されますから、リコのことを気にしている暇もありませんよ。今頃ドレスなどの準備で忙しくしているはずです」
「それなら大丈夫だな! 基本的に竜人は短気だが、過ぎたことは気にしないから。僕もリコが働き者で良い子だって、ここに来る騎士たちに話しておくよ」
「いいんですか! ありがとうございます!」



