「竜王様が開いた最初の宴だったからね。それなのに始まってすぐに中止だろ? 何があったのかと思ったよ」
「は、はじまって、すぐ……中止……」


 もう頭が痛くなってくる。そうとう間が悪い時に、あの場に現れたのか。私がくらくらする頭を片手で押さえていると、リディアさんが心配そうにのぞき込んできた。


「リコ、そんなに気にしないで大丈夫ですよ。あれはただの顔合わせで、お妃様を決めるわけではありませんから。それにまたパーティーは開きますし」


 私がしょんぼりしたからか、リドルさんもあせっている。しかし彼からの追加情報は、私をもっと落ち込ませるものだった。


「すまない! 気にしちゃったかい? でもあれは令嬢達の親が熱心に頼み込むからああいった場を設けただけで、竜王様自身は乗り気じゃないし、怒っていないと思うよ?」


(リドルさん! 私が気にしているのは竜王様じゃないんです! 私にとって大事なのは怒っているご令嬢のほうなんです!)