竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「みんな、待ってるからね」


 お腹を優しくなでると、返事をするようにポンと蹴られた。その懐かしい感触に、なんだか目の奥がきゅっと切なくなる。するとそんな感傷的な気持ちを吹き飛ばす声が、聞こえてきた。


『訓練終わったから、ぼくも手伝う〜!』
「キールくん……!」


「ああ……」と頭を抱えても、もう遅い。キールくんは訓練からの開放感からか、大声でみんなが寝ている場所に飛び込んでいく。案の定、みんな起きてしまい大騒ぎだ。


『キール! 今寝かせたところなんだぞ!』
『ご、ごめん……!』


 ヒューゴの怒り声にビクビクと反省中だけど、もう黄竜の子たちは『おひるね、おわりだー!』と騒ぎ始め、青竜は静かに苛立ち、白竜は寝ぼけ眼で首をゆらゆらと揺らしている。終いには、黄竜と青竜で喧嘩になってしまった。


『おまえら、止めろって!』
「リコ様! すみません! わたくしの手にはおえません!」
「はあ……今日も大変だわ」


 あわてて喧嘩を止めるために、リュディカの頭をどかすと、顔が不満気だ。


「ほら、リュディカも執務室に戻って」
「まだ、リコが足りないのだが?」
『パパ、もう行きなよ〜』
「フン。まだ人間にもなれないおまえの注意など聞かんぞ」
『むうう!』


(ああ、もう! あっちもこっちも、竜人というのは本当に短気で、喧嘩好きなんだから!)


 するとリュディカの言葉にそうとう腹が立ったのか、トレジャーがポケットから出てきた。