『リコせんせ〜! リックがぼくのしっぽ、かんだぁ!』
『ぼく、行ってきます』
「リコ様、わたくしも見てきますね」


 リディアさんもなかなかに幼竜の扱いがうまく、竜人のなかでも優しい性格なので、みんな大好きだ。今も彼女が様子を見に行っただけで、しっぽをブンブン振って飛びついている。


『リディア先生、いっしょにねよう?』
「リディアさん、一緒に寝てほしいそうです」
「ふふ。わかりました。じゃあ私はここで寝かしつけをしますね」

『ヒュー、ぼくもヒューといっしょにねたい!』
『クルル、おまえは俺といつも一緒に寝てるだろ……』


 しばらくすると二人のおかげで、みんなスヤスヤと寝始めた。黄竜なんてお腹を出して寝ていて、性格がよく出た寝相に、思わずクスリと笑ってしまう。


「おっと、これも日誌に書いておこう」


 幼竜の保育園でいろんな竜と接しているうちに、だいぶ竜たちの特徴がわかってきた。例えばヒューゴみたいな白い竜は比較的大人しいけど本当は甘えん坊とか。我慢強いけど、ストレスをためやすく、お腹をよく壊してしまう。


(甘えたいけど甘え下手な子が多くて、遊び場のすみでじっとしているのが白竜なのよね)


 今も白竜の子たちは、すみでまとまって寝ている。小さな音でも敏感に聞き取りすぐ起きるので、さわがしい黄竜とは離して寝かせたほうがいい。


 私は特徴や注意事項をサラサラと紙に書いていく。これをシリルさんにこの世界の言語で残してもらい、各地に役立ててもらうようにしている。最近は実際に見学をしたいという人も増えて、この保育園も感謝されていた。