「は〜い! みんな〜! こっちに集まってね〜」
『はあ〜い』
『おれがいちばん!』
『おれのほうが、はやい!』
「コラコラ、喧嘩しないの!」


 トレジャーを産んで、もう三年。王宮には無事保育園ができ、今日もたくさんの幼竜を預かっている。


『みんなリコ先生の言うことを聞いて、ちゃんと並ぶんだ! 騎士団に入ったら指示に従えないヤツは、クビだぞ!』


 あわてて幼竜たちは並びはじめ、心なしかピシッとしている。ちなみにこの保育園内では私の趣味で「リコ先生」と呼んでもらっていた。最初はみんな「お妃様」と呼んで距離があったので、変えてもらったのだ。おかげで保育園の先生気分を十分に味わっている。


「ヒューゴくん、いつもありがとう」
『いえ、騎士団の訓練の合間ですし、後輩を教える練習にもなりますから』


 あいかわらず謙虚で努力家のヒューゴくんは、白竜チームのリーダーに昇格していた。私以外を乗せることはないけれど、的確に他の竜に指示を出せることが認められたからだ。そのおかげで、以前よりも自信がついたようで、毎日イキイキとしている。


「みんな〜お昼寝の時間ですよ〜」
『は〜い』


 竜たちは素直に返事をして、好きな場所で丸くなって寝始める。それでも子どもの竜が集まればトラブルは起こるもので、あっという間に喧嘩が始まってしまった。