結婚式から、半年後。私は無事、妊娠していた。でも正直不安ばかりで、毎日薔薇色とはいかない。


「だって、卵くんが全然話しかけてくれないんだもん!」
「妊娠したら、普通はお腹から胎児は話しかけてこないものだと思うが?」
「それはそうだけど……早く会いたい!」


 私はお腹をさすりながら、リュディカの膝に座っている。場所は中庭で護衛の人や侍女もたくさんいるが、もうこの体勢も日常になり、人前でキスするのも平気になっていた。慣れって怖い。


「それに卵の時だって、普通は一言話したら終わりで、ずっと話している妃はいないぞ」
「そうなの?」
「ああ、だから先にあんなに話せたのは、幸運だと思えばいいんじゃないか?」
「そっか……でもね、人間だとお腹の赤ちゃんが蹴ったりするでしょ? キックゲームって言って、私がお腹を叩いたら、赤ちゃんが蹴り返してくれて、それでコミュニケーションを……ううう」


 保育の勉強で知った胎教が、今の私には全然活かせない。むしろ妊娠前のほうが卵くんと会話をしていたので、今の状況が淋しくてしょうがないのだ。いわゆるマタニティブルーなのかもしれない。