「では、最後にこちらを付けさせていただきますね」
そう言ってリディアさんが箱から取り出したのは、ティアラとネックレスだ。二つとも中央に大きな赤い宝石が埋め込まれ、それを引き立たせるようにキラキラと光る、ダイヤモンドのような石が散りばめてあった。
「竜王様が結婚式を早めるから、職人は大急ぎで作っていましたよ」
「もう、リュディカったら……」
本来なら最短でも半年以上かけてする結婚準備を、リュディカはなんと一ヶ月で終わらせようとしていた。私が準備する人の気持ちを考えてと怒って、ようやく三ヵ月まで譲歩してくれたのだ。
「それだけ早く、リコ様と結婚したいんですよ」
「そ、そうね。それは嬉しいけど、横暴な王様にはなってほしくはないわ」
「リコ様がいれば大丈夫ですよ。さあ、そろそろ行きましょうか。竜王様が苛立っている頃です」
リュディカはあれから、所構わず私にベタベタとくっついている。日本人の私からしてみたら、他の人が見てますからと拒みたくなるけど、むしろ竜人なら普通らしい。夫婦が一緒にいないと、喧嘩したのかと疑われてしまうくらいだ。
だからだろうか、控の間の扉を開けると、すぐそこにリュディカが立っていた。