『お嬢ちゃ〜ん! いったいどうしたんだ〜! 助けにきたぞ〜!』
「ランドくん?」
なんと竜の群れの先頭には、飼い主の楽器の音を化け物だと威嚇していたランドくんが飛んでいる。するとまた聞き覚えのある声が空に響き始めた。
『今度は俺が助けてやるぞ! 敵はどこだ!』
この声はカルルくんだ。犬のシーラが死んだと思って喪に服すという変わったことをするカルルくんが、キョロキョロと敵を探しながら飛んでいる。
しかし後ろにいる竜は、まったく知らない子たちだ。
(なにか一生懸命話しているようだけど、なんて言ってるの?)
『なんだかしらないけど、戦うなら俺はやるぜ!』
『あの噂の竜と話せる女の子がピンチなんでしょう? そんなか弱い子をいじめるなんて、許せないわ!』
『カルルたちが助けに行くっていうから、私も手伝わなくちゃね!』
『俺はただ王宮の竜に、好きな子がいるんだ〜』
どうりで知らない竜たちだと思った。最後の竜なんて完璧に野次馬というか、便乗して王宮に遊びに来ている。きっと後ろにいる竜たちは、伝言ゲームのように私がピンチだということを聞いて、王宮に駆けつけてくれたんだろうな。