竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「そこで、侯爵がこれでは不公平だと、竜王様に異論を唱えました。父親が水晶の守り人で、息子が竜王の補佐では、妃選びに不正が行われてもおかしくないと言ったのです」
「アビゲイル様のためでしょうか?」


 リディアさんは私の言葉に、しばし悩んだあと、首を横に振った。


「……それもあるかとは思いますが、侯爵が強く反対することで、発言を取り消すと思っていたようです。しかし竜王様はシリル様を補佐に選ぶことを撤回せず、シリル様のお父様であるルシアン様が職を辞し、そしてリプソン侯爵は王宮から去りました」

「そんなことがあったんですね……」


 じゃあこの国で権力を失ったリプソン侯爵は、アビゲイル様が選ばれてほしいと切望しているんだろうな。それに妾になったと噂された私が、竜王様の近くにいては、さぞ目障りなはず。


 それにあの寒気のする、粘ついた視線。少しでも私が弱気になったら、くじけてしまいそうな気持ち悪さがあった。