「うわあ! 竜王様、かわいい!」
「……入るぞ」


 そう言うと、手のひらサイズの竜王様は、私の横から器用にすべりこみ、部屋に入ってしまった。


「もしかして、昨日いただいた酔い止めの木の実を、持ってきてくれたのですか?」


 明日にはまた王宮に帰る。さすがにあの木の実の効果も終わってるだろうし、酔いたくないのでまた飲んでおきたいな。そう思って話題に出したのだけど、どうやら違うみたいだ。竜王様は、何も持っていなかった。


「ん? ……そうだな! 今日も酔わなかったし、大丈夫だろう」
「そうですか? もし明日気持ち悪くなっても、責めないでくださいね」


 そう言うと「休憩しながら飛ぶから大丈夫だろう」と言って、部屋を旋回するように飛んでいる。そんなに大きな部屋じゃないので、竜王様を見ていると目が回りそうだ。