「最後の宿泊する領主は、少し違う。彼は代々、竜王の妃の判定をする、水晶を守る番人の家系だ。事情があって俺の父親が竜王の時、他領主にその仕事を譲ることになったがな」


 妃の判定をする水晶を守る番人――


 その言葉にドキッと胸が跳ね上がる。


「そ、そんな職業があるんですね」
「ふっ……、そうだな。彼はこの国の歴史に精通していたから、先の迷い人のことも知っていたはずだ。リコを連れて行ったら、喜ぶだろう」


 前回来た迷い人さんが五百年前だから、最近の竜人にとっては、名前だけ知っている歴史上の人物って感じなのだろう。知ってたのは竜王様とシリルさんだけだった。


(前回の迷い人さんがどうしていたのか知れたら、何かの役に立ちそう!)