竜車の乗り心地は、飛行機が安定飛行している時に近い。これなら竜王様が心配していたような、車酔いもしないですむだろう。私は小さくなっていく王宮を見ながら、ホッと胸をなでおろした。


「竜王様、今日はどのような場所に行くのですか?」
「今日は三つの領主のところに行く。隣あった場所だから、そんなに移動は長くないぞ。それに最初の二つは、竜をことさら可愛がっている領主だからな。リコの能力を見るのを、ものすごく楽しみにしている」


(ふむふむ、それなら私の能力が発揮できそうだ)


 しかし竜王様は「最初の二つ」と言った。最後の領主は、今日宿泊でお世話になる予定なんだけど。竜に興味ない人なんだろうか? それならなぜ、私に依頼したんだろう? 


 不思議に思っていると、竜王様は私の顔を見て「リコは本当にわかりやすいな」と言って笑っている。