「ではシリル様をお呼びする前に、湯浴みをして着替えましょう」
「はい! ありがとうございます!」


 ようやく好意的に理解してくれる人に出会ったことで、私は浮かれ気分で身支度を始めた。もちろんお風呂の手伝いはなんとか断って、一人で入らせてもらう。さすがに体を洗ってもらうのは、抵抗があるもの。それでも豪華なドレスからは逃れることができず、私は刺繍と宝石がたっぷり施された衣装に身を包むことになった。


「リディアさん、私、ここまで豪華なドレスは……」


 光沢のあるオフホワイトのドレスに、ダイヤモンドの様な輝きを放つ宝石が胸元にいくつも縫い付けられている。キラキラと陽の光で輝いているけど、小粒の石だからとても上品な仕上がりのドレスだ。裾には複雑な刺繍がぐるりと施してあり、もしかしたらこれがシリルさんの言っていた「護符の刺繍」なのかもしれない。


(こんな高級なドレスを着てたら、また恨みを買いそうだわ……)


 私が戸惑いながらドレスに袖を通していると、リディアさんは苦笑しながら首を横に振っている。