竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜



 この声はリコだ。俺が聞き間違えるはずはない。もしかしたら竜が観客席まで襲い始めたのだろうか。急いで競技場に向かい、扉を開ける。すると俺の目に信じられない光景が飛び込んできた。


 リコは競技場の真上の空に、うつぶせで浮かんでいた。顔は恐怖に支配され、真っ青だ。


「リコ!」


 大声で名前を呼ぶと、俺は無意識に竜の姿になっていた。絶対に助けてやる! しかしその瞬間、リコの体は地上めがけて真っ逆さまに落ちていく。そしてリコの落ちていく先には、あの正気を失った竜が口を開けて待ち構えていた。


 バクリとリコの体が、竜の口に飲み込まれる。


「きゃあああ!」
「りゅ、竜に人が食べられたぞ!」
「みんな逃げろ!」


 その怖ろしい光景に観客は悲鳴をあげているようだが、俺の耳には何も届かなかった。