竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「竜の様子が変ですね。どうしたのかしら?」


 アビゲイル様も気づいたようで、怪訝そうな顔で試合を見ている。周囲の人たちも竜たちの異常な行動に騒ぎ始めていた。


「目がギラギラして、あんなに噛みつくなんて変よ」
「まあ! 騎士が弾き飛ばされてしまったわ!」
「竜王様が下に降りるようですね。王の力を借りないと収まらないなんて、何があったのかしら……」


 観客の一人が指を指しているほうを見ると、竜王様が席からいなくなっていた。きっと後ろの階段から競技場のほうに降りて行ったのだろう。その間も竜たちは興奮が止まらず、雄たけびをあげるたび、突風が下から吹き上がってくる。


「きゃっ! すごい風!」