竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜



 いきなり来ていきなり帰ったと思ったけど、あれは噂を消すためだったのか。でもたしかに噂が消えてくれたのは助かる。もちろんそれで私に対して好印象を持っている人は少ないだろうけど、敵意は減ったんじゃないだろうか。


「竜王様も自分がしたことで、リコに迷惑がかかっていることを気にしていたようですね」
「竜王様が……」
「まあ、シリル様のお説教もありますけど」
「ふふっ」


 シリルさんにお小言を言われてる竜王様の姿が目に浮かび、思わず笑ってしまう。それでも私のことを気にかけ、来てくれたことは素直に嬉しかった。


(私の気持ちの切り替えの早さだとか、よく見てくれているんだな……)


 あの夜、竜王様に自分の生い立ちを話したことで、心の中の荷物を下ろしたような気持ちになっていた。居場所が欲しかった自分。そんな夢を笑わず聞いてくれ、やりたいことを見つける手伝いをすると言ってくれた。