「アビゲイル嬢、久しぶりだな。お父上はどうされている?」
「父でしたら毎日健康に過ごしていますわ。今まで忙しかったぶん、母と過ごす日々が楽しいようです」


(たしかアビゲイル様のお父さんは、竜王様のお父さんの補佐をしていたんだよね)


 たぶん今でいう、シリルさんの役職だったのかな? それならアビゲイル様が王宮に来ることもあっただろうし、二人は幼馴染なのかもしれない。


 それでも二人の話に親密さは感じず、アビゲイル様のお父さんの話ばかりだ。どこで過ごしているのか、領地には行くのか。最近は竜を飼っているのかなど、甘い雰囲気が二人にはない。しかも竜王様は聞くだけ聞くと、話を切り上げ立ち上がってしまった。


(あれ? これで終わり?)