『もう、毎朝大雅に会いに行くのはやめるから。付き纏ったりしないから。本当に今までごめんなさい。
もう大雅には会わない。だから、安心してね。彼女さんとお幸せにね。……言いたいことはそれだけ。じゃあ、時間をくれてありがとう。さよなら』



俺には彼女なんていないとか、言いたいことだけ言って勝手に帰るとかなんなんだとか、謝るくらいなら最初からこんなことするなとか、そんなことは全部どうでも良くて。


……いいじゃないか。これでもう、あいつが俺につきまとってくることはないんだから。


もう俺に会わないって言っていたんだ。日常が戻ってくるだけじゃないか。そう思うのに。


何故かあの女の言葉と悲痛な表情が、何度まばたきしてもずっと目に焼き付いていた。


あいつが公園を出て行ってからもずっとモヤモヤしていて、俺はその場から動くことができなかった。


その日から、本当にあいつは朝俺の元へくることが無くなった。


それを待ち望んでいたはずなのに。やっと落ち着くはずなのに。


どうしてか、学校帰りの俺の足は毎日あの公園に向かっていた。


あたりまえだけど、あいつはここにいない。


でも、数日前にここで言われたことが頭から離れない。


どれくらい時間が経っただろうか。来た時にはまだ明るかった空が、いつのまにか夕焼けで綺麗なオレンジ色に輝いていた。