フランコの美しい顔を見ながら、大いに納得した。

 人の本音や本性に晒されれば、だれだって精神を病んでしまう。

「だが、ナオ。きみの心はのぞけないな。聖女だからか、それとも他に何かあるのかはわからないが」

 そうなのね。

 よかった。ほんとうによかった、とホッとした。

 これだけフランコのことを怖れていることを知ったら、彼は傷ついてしまうかもしれない。

 ってバカね。わたしごときが怖れたって、彼は痛くもかゆくもないわよ。

 心の中で、自分自身に対して苦笑してしまった。