厳密には、侯爵夫人とわたしはお茶で、エルマと侯爵とバルナバはお酒である。

 カモミールティーにクッキーが添えられている。

 クッキーは、プレーンにチョコにレーズン入り。

 それらは、一枚板のローテーブルの中央部分に置かれた丸いお皿上に整然と並んでいる。

 うそでしょ?ついさっきあれだけ夕食をいただいたというのに、まだ食べたいというの?食べたりないわけ?

 お腹のどこに入るっていうの?

 ほんと、不可思議だわ。

「スイーツとかおつまみって別腹よね?」

 真向かいの長椅子に座っている侯爵夫人と目が合った。

 上品で美しい顔にやさしい笑みが浮かんでいる。